認知症の親が昼夜逆転…夜に起きて昼に寝てしまうとき、50代の子が知っておきたい、睡眠リズムの整え方と相談の目安

夜の寝室のベッドとランプのイメージ 50代・60代の睡眠

「親が昼間に寝てばかりで、夜になると起きている」「夜中に何度も起きてきて、こちらも眠れない」。

親の認知症で、そんな日が続くと、家族のほうも、つらくなります。

この記事では、厚生労働省の睡眠ガイドのQ&Aをもとに、認知症の親の、睡眠リズムの乱れについて、ガイドに書かれている内容を整理します。

この記事は、一般的な生活情報です。病気の診断や治療、介護の方法を示すものではありません。親の様子で気になることがあるときは、かかりつけ医などの医療機関に、相談してください。

この記事のポイント
  • ☾ 認知症の6〜7割の人が、睡眠の乱れで悩んでいるといわれています
  • ☾ 体内時計の変化で昼夜のメリハリが弱まり、昼夜逆転する人もいます
  • ☾ 太陽光・日中の運動・人とのつながりが役立つことがあり、難しいときは医師に相談します

親の睡眠の乱れは、よくあること?

厚生労働省の睡眠ガイドのQ&Aには、「認知症の両親の睡眠が乱れ、昼間に長く居眠りをし、夜に活動する時間が増えてしまいました。対策はありますか?」という質問が、取り上げられています。

その答えには、次のように書かれています。

  • ☾ 6〜7割の認知症患者が、睡眠の乱れで悩んでいるといわれている
  • ☾ 加齢に伴い、睡眠・覚醒リズムを司る体内時計の機能が変化し、昼夜のメリハリが弱まる
  • ☾ 高齢者では、若いときに比べて、昼寝(昼間の眠気)が増える一方で、夜間に目が覚めている時間が増える傾向がある
  • ☾ 認知症になると、体内時計の機能の変化がさらに進む傾向があり、活動パターンが、完全に昼夜逆転してしまう人もいる

つまり、親の睡眠が乱れるのは、ご本人の努力や、性格の問題ではなく、体内時計の変化が関わっている、と考えられます。

なぜ、整えるのが難しいの?

ガイドには、認知症が進むと、自分で、睡眠・覚醒のリズムを修正しようとする意識も弱まるため、リズムを整えることは、困難な場合が少なくない、と書かれています。

うまくいかないときに、「自分の関わり方が悪いのでは」と、責めすぎないことも、大切です。

ガイドに書かれている、リズムを整えるヒント

ガイドの答えでは、昼夜のメリハリを助ける方法として、次のものが、挙げられています。

  • ☾ 太陽光を活用する
  • ☾ 日中の運動習慣
  • ☾ 社会的交流(人とのつながり)

ガイドは、これらが、睡眠・覚醒リズムの調整に、役立つことがあるとしています。ただし、「役立つことがある」という表現で、必ずうまくいく、というものではありません。

高齢世代に勧められている、日中の過ごし方

ガイドの高齢者の項目には、認知症の方に限らず、高齢世代の睡眠について、次のような内容が書かれています。

  • ☾ 昼間の眠気や疲労感は、昼夜のメリハリの低下に伴って出やすくなる
  • ☾ 日中にできるだけ長く、太陽の光を浴びることや、習慣的に運動をすることが、お勧め
  • ☾ 社会や他者とのつながり(地域活動、対人関係)や、信頼関係によって、睡眠や身体活動などが促進される
  • ☾ 地域などで開かれている、ラジオ体操やヨガなどのイベントを活用して、運動習慣をつけることも、良質な睡眠の確保に役立つ

昼寝は、どうすればいい?

ガイドには、次のように書かれています。

  • ☾ 夜間の良眠を妨げる原因になりうるため、日中の長時間の昼寝は避ける
  • ☾ 目覚ましをかける、同居者に起こしてもらうなどの工夫が有効
  • ☾ 必要以上に寝床で過ごさず、日中の活動時間を増やすことが、昼夜のメリハリを増すために重要

昼寝については、昼寝をすると夜眠れない?50代から見直したい昼寝の長さと時間帯で、50代の昼寝として、紹介しています。

ガイドに書かれた工夫 内容
太陽光を活用する 日中にできるだけ長く、太陽の光を浴びる
日中の運動習慣 習慣的に運動する。ラジオ体操やヨガなどのイベントも役立つ
社会的交流 地域活動や、人とのつながりを持つ
昼寝は長くしない 目覚ましをかける、同居者に起こしてもらうなどの工夫が有効

夜の寝室と、寝床で過ごす時間について

ガイドの高齢者の項目には、寝室の環境と、寝床で過ごす時間について、次のように書かれています。

  • ☾ 睡眠を妨げうる寝室環境(たとえば、テレビやラジオをつけながら寝る、電気をつけたまま寝る)は、気づかないうちに、良眠の妨げになっている可能性があるため、改善するよう心がける
  • ☾ 高齢世代では、長い床上時間(寝床で過ごす時間)が健康リスクとなるため、床上時間が8時間以上にならないことを目安に、必要な睡眠時間を確保する
  • ☾ ただし、必要な睡眠時間には個人差がある

寝床で過ごす時間については、布団にいる時間が長いと眠りが浅くなる?50代・60代から見直したい「寝床で過ごす時間」の目安で紹介しています。

親ごとに、体調や、安全面の事情は違います。できることから、ひとつずつ、試してください。

それでも難しいときは

ガイドには、太陽光の活用、日中の運動習慣、社会的交流が役立つことがあるが、それでも困難な場合は、医師に相談してください、と書かれています。

次のようなときは、早めに、かかりつけ医などに、相談を考えてみてください。

  • ☾ 夜中に起きて動き回ることが多く、家族が休めない
  • ☾ 昼夜が、完全に逆になってしまった
  • ☾ 睡眠の乱れとともに、様子の変化が、気になる

介護そのものの相談先としては、お住まいの市区町村の、地域包括支援センターもあります。

家族の睡眠も、守ってください

親の夜間の対応が続くと、家族の睡眠も、削られていきます。ご自身の眠りについては、家族の介護で夜中に起きる日が続くとき、自分の睡眠をどう守る?で、紹介しています。

よくある質問

よくある質問のイメージ(吹き出し)

Q. 認知症の親の昼夜逆転は、よくあることですか?

A. 厚生労働省の睡眠ガイドには、6〜7割の認知症患者が睡眠の乱れで悩んでいるといわれている、と書かれています。また、認知症になると、活動パターンが完全に昼夜逆転してしまう人もいる、とされています。

Q. 昼間は、起こしたほうがいいですか?

A. ガイドには、夜間の良眠を妨げる原因になりうるため、日中の長時間の昼寝は避けるようにする、目覚ましをかける、同居者に起こしてもらうなどの工夫が有効、と書かれています。ただし、親ごとの体調や様子に、合わせてください。

Q. 自分たちで整えようとしても、うまくいきません。

A. ガイドには、認知症が進むと、自らリズムを修正する意識も弱まるため、是正が困難な場合が少なくない、と書かれています。太陽光の活用、日中の運動習慣、社会的交流を試しても難しいときは、医師に相談してください。

あわせて読みたい関連記事

まとめ|リズムの乱れは、本人のせいではない

まとめのイメージ(チェック)

認知症の親の睡眠リズムについて、大切なことは、次の4つです。

  • ☾ 認知症の6〜7割の人が、睡眠の乱れで悩んでいるといわれている
  • ☾ 体内時計の変化で、昼夜のメリハリが弱まり、昼夜逆転する人もいる
  • ☾ 太陽光、日中の運動、人とのつながりが、役立つことがある
  • ☾ それでも難しいときは、医師に相談する

まずは、昼間にカーテンを開けて、光を入れることから、試してみてください。

参考情報

厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(令和6年2月) https://www.mhlw.go.jp/content/001305530.pdf
(本記事の、認知症の方の睡眠の乱れに関するQ&A・高齢者の日中の過ごし方・昼寝に関する記述は、同ガイドの原文で確認した内容です。)

コメント

タイトルとURLをコピーしました