夜は早く布団に入って、朝までゆっくり休む。
「少しでも長く寝たほうが、体にいいはず」と、思っていませんか。
でも、布団の中で長く過ごすほど、夜中に目が覚めたり、眠りが浅く感じたりすることがあります。
この記事では、厚生労働省の睡眠ガイドをもとに、「布団にいる時間」と「眠っている時間」の違いと、50代・60代から見直したい「寝床で過ごす時間」の考え方を整理します。
この記事は、一般的な生活情報です。病気の診断や治療を行うものではありません。つらい状態が続くときや、日常生活に影響があるときは、医療機関へご相談ください。
- ☾ 布団にいる時間と、眠っている時間は、別のものです
- ☾ 長く布団にいると、眠りが浅くなることがあります
- ☾ 目安は、眠っている時間に30分ほど足した長さです(高齢者版の目安)
「布団にいる時間」と「眠っている時間」は、別のものです
厚生労働省の睡眠ガイドでは、「床上時間」と「睡眠時間」を区別することが大切だとされています。
床上時間とは、床に入っている時間のことです。睡眠時間とは、実際に眠っている時間のことです。
たとえば、夜9時に布団に入って、朝6時に起きたとします。
布団にいる時間は9時間です。でも、実際に眠っているのが6時間なら、残りの3時間は、布団の中で起きている時間です。
ふだんの自分は、どのくらい布団にいて、どのくらい眠っているのか。まずは、そこを分けて考えてみることから始めます。
長く布団にいると、眠りが浅くなることがあります
厚生労働省の睡眠ガイドによると、一晩に眠ることができる時間には、限りがあります。
体が必要とする睡眠時間より長く、床の上で過ごすと、次のようなことが起こりやすいとされています。
また、ガイドの高齢者版では、次のような悪循環が紹介されています。
長く寝ても、実際に眠れる時間が増えるわけではありません。眠りの質が下がって、休養できた感覚が減ります。すると、「もっと休まなければ」と感じて、さらに長く寝てしまいます。
50代・60代で、布団にいる時間が長くなりやすい理由
厚生労働省の睡眠ガイドには、次のような内容が紹介されています。
また、ガイドの高齢者版では、年齢とともに、体が必要とする睡眠時間が、少しずつ減っていくと説明されています。
つまり、「時間がたっぷりあるから」「早く目が覚めるから」と、布団にいる時間が長くなっても、不思議ではありません。
ただし、これは傾向の話です。すべての方に当てはまるわけではありません。
目安は「眠っている時間+30分」
厚生労働省の睡眠ガイドの高齢者版では、床上時間の目安が、次のように示されています。
この目安で計算すると、次のようになります。
ここで、気をつけたいことがあります。
この目安は、ガイドの「高齢者版」にあるものです。50代・60代前半の方は、そのまま当てはめず、参考として考えてください。
また、ガイドには、必要な睡眠時間には個人差があると書かれています。日中に忙しく過ごしている方は、若い世代と同じくらいの睡眠時間が必要なこともあります。
6時間以上を目安にしながら、日中に元気に過ごせる、自分に合った時間を探します。
寝床で過ごす時間を見直す5つのポイント
ここからは、ガイドをもとにした、一般的な工夫の例です。無理のないものから、ひとつだけ試してみてください。
1.まず1週間、記録してみる
厚生労働省の睡眠ガイドでは、まず1週間、自分の睡眠を記録することが勧められています。
ポイントは、床上時間と睡眠時間を、分けて書くことです。
記録の書き方は、睡眠日誌に何を書く?7日間版テンプレートと読み返し方で紹介しています。
2.眠くないのに、早く布団に入りすぎない
眠気が来ていないのに、布団で長く待つと、考えごとが増えたり、時計が気になったりしがちです。
少し眠くなってから、布団に入る方法があります。
3.眠れないときは、いったん布団を離れる
ガイドでは、寝床で考えごとをするのは避けるよう勧められています。
なかなか眠れないときは、いったん寝床を離れて、静かで暗めの、安心できる場所で過ごします。眠気が来てから、寝床に戻る方法です。
くわしくは、夜中に目が覚めて眠れないとき、布団の中で粘る?いったん出る?で紹介しています。
4.日中は、光と体を動かす時間をつくる
ガイドの高齢者版では、日中に、できるだけ長く太陽の光を浴びること、習慣的に運動をすることが勧められています。
地域の活動など、人とのつながりも、眠りや活動を助けると紹介されています。
運動については、夜よく眠るために運動したほうがいい?50代から始める無理のない体の動かし方で紹介しています。
5.長い昼寝を避ける
ガイドでは、日中の長い昼寝は、夜の眠りを妨げるため、避けるよう勧められています。
目覚ましをかけたり、家族に起こしてもらったりする工夫が、役に立つとされています。
昼寝の長さと時間帯は、昼寝をすると夜眠れない?50代から見直したい昼寝の長さと時間帯で紹介しています。
あわせて、寝室のテレビやラジオ、明かりも見直します。ガイドでは、テレビやラジオをつけたまま寝る、電気をつけたまま寝ることが、気づかないうちに、眠りの妨げになっている可能性があるとされています。
無理に短くしすぎないでください
布団にいる時間を短くしても、すぐに眠りがよくなるとは限りません。
ガイドの高齢者版では、自分で床上時間を短くするときは、6時間を限度にすることが勧められています。
また、心臓や呼吸、腰・膝などの病気で、布団で過ごす時間を減らしにくい方もいます。
そのような方は、無理をせず、主治医に相談しながら、できることを考えてください。
| こんなとき | 試してみること |
|---|---|
| 朝早く目が覚めたとき | そのまま布団で長く過ごさず、起きる時間を見直す |
| 夜中に目が覚めたとき | 時計を見ず、眠れなければいったん布団を離れる |
| 休日に長く寝てしまうとき | 起きる時間を、ふだんから大きくずらさない |
| 休養できた感じが戻らないとき | いびきや足のむずむずがないか確認し、医療機関に相談する |
場面別の考え方

朝早く目が覚めてしまうとき
早く目が覚めたあと、布団の中で長く過ごしていないかを、見直します。
朝早く目が覚める理由は、50代になって朝早く目が覚めるのはなぜ?生活の中で見直したいことで紹介しています。
夜中に目が覚めたとき
時計を見たり、考えごとをしたりしがちです。眠れないときは、いったん布団を離れます。
休日に、つい長く寝てしまうとき
休日に長く寝ると、夜の眠りに影響することがあります。
休日の起きる時間については、休日に寝だめすると夜眠れない?50代から見直したい休日の起きる時間で紹介しています。
相談を考える目安
次のようなときは、医療機関への相談を考えてみてください。
厚生労働省の睡眠ガイドでは、50歳代から、睡眠時無呼吸症候群や、むずむず脚症候群などの睡眠障害が出やすくなると説明されています。
生活を見直しても、休養できた感覚が戻らないときは、睡眠障害が隠れているかもしれません。医師に相談してみてください。
- ☾ 朝の起きる時間を、そろえやすくなる
- ☾ 昼寝の時間を決めて、夜の眠りにつなげやすくなる
- ☾ 温度計・湿度計つきなので、寝室の環境も確かめやすい
※広告を含みます。起きる時間をそろえたり、昼寝を長引かせないために、目覚まし時計を使う方法があります。一例として、温度計・湿度計つきのアナログ時計を紹介します。夜中に時計が気になるときは、文字盤を壁側に向けるなど、見えない置き方にしてください。音や大きさは、確認してから選んでください。
よくある質問

あわせて読みたい関連記事
まとめ|「長く寝る」より、「自分に合う長さ」を

布団にいる時間と、眠っている時間は、別のものです。
大切なことは、次の4つです。
まずは、1週間だけ、布団に入った時刻と、出た時刻を書いてみてください。
参考情報
厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(令和6年2月) https://www.mhlw.go.jp/content/001305530.pdf
(本記事の床上時間・睡眠時間・日中の過ごし方・50歳代からの睡眠障害に関する記述は、同ガイドの原文で確認した内容です。「高齢者版」の目安は、50代・60代前半の方には、そのまま当てはめず、参考として読んでください。)


コメント